大きな忘れ物を見つけた話
子どもの時から、小説を読むのが、三度の飯より好きだった。
時が経つのも忘れて読みふけったし
辞書のように分厚い小説だって、どこにでも持ち歩いた。
病院の待合室でも、バスの停留所でも、電車の中でも、デパートのソファでも、泣いたり笑ったりしながら(はたから見ると相当怪しい女よ)読んだ。
現実がつまんない時、退屈している時は特に、
「あー早くあの世界に戻りたい」と思っていた。
そんな大好きだった小説なのに、だんだん熱中できなくなって、この数年で徐々に読まなくなった。
待ちわびていた村上春樹の長編小説も、数年前に買ったっきり、10ページほど読んだだけで止まっている。
その代わりに本棚を占めるようになったのが、「くらしの本」とか「ホ・オポノポノ」とか「冷えとり」とか「生き方」とか「見えない世界の本」とかスピリチュアルな本とか。
それは私の人生に、直接的な影響を与えたし、ワクワクもした。
そもそも活字中毒な私は、そういう本だけでなく、色々な発信をしている人の文章も読みたくて、ブログもよくチェックしている。
だけど、なんだか、最近「ズレ」というか、違和感を感じることが多くて、一体何だろうとモヤモヤしていた。
さて、昨日のことである。
佐賀の紀伊国屋書店に足を踏み入れ、久しぶりに小説を手に取った。
直感的に三冊買った。
娘をお風呂で遊ばせながら、脱衣所で猛烈に読んだ。
すごく、本当にすごく熱中した。
「あぁ、この感覚を忘れていたなぁ」と思う。
ある意味で、私は現実主義になっていて、私の思考や精神状態や時間の使い方が、現実に反映されることに対して、過敏になっていたように思う。
ファンタジーの中で遊ぶ時間は、私にとって必要不可欠な時間。
そして、ファンタジーが本の中だけではなく、自分の人生ににじみだしてくる、その感覚を知っているし、それをこよなく愛していた。
子どもの時からずっと。
そんなに大切な時間なのに、
家事、子どものこと、お店のこと、ブログを書くこと、SNSで発信すること、事務仕事や経理の仕事、それらに時間を使わないと、と思うあまりに、
現実をしっかり進めていかないと、と焦るあまりに、
私は私の愛する時間をなくしていたみたい。
いつの間にか小説を読む時間=無駄な時間に設定してたことに気づく。
だからか。
夫が夜中までDVDを熱中して観ているのを見てイライラしたのは 笑
私も、小説に熱中したかっただけだ。(文句つけたりして、すまんな、夫よ)
何かが足りない。
何かを置いてきてしまった。
そんな感覚がつきまとっていたのは、内なるわたしからのメッセージだった。
あなたは吉本ばななの小説を読んだことがあるかしら?
私は、青春期がばななさんの小説と共にあるような世代であり、そういう意味では、ばななさんの小説は友だちのようなものだ。
人生の大きな岐路に立たされた時、冷えとり、とか、ホ・オポノポノとかって、本当に私を支えてくれた知恵ではあるのだけれど、この時初めて
「ばななさんの小説は物語じゃないぞ。生きるためのノウハウ本だ。」
ということをかなりクリアに実感した。
なぜなら、ばななさんの本にはちりばめられている言葉とエッセンスとエネルギーが、あの苦しい時間の中で、直接的に役に立ったのを感じたからだ。
「救われた」という言葉が、全く言い過ぎではないほどに、私はばななさんの小説に助けられた。
つまり、私にとっての小説は、物語であり、フィクションであり、ファンタジーであるのと同時に、「私を生きる」ためのノウハウ本であるということ。
そして、私はファンタジーを生きるために生まれてきた、ということ。
美しいもの、可愛いもの、不思議なこと、奇跡のようなこと、それらを現実に体現するために。
ファンタジーと現実は、私にとって切っても切り離せない、コインの裏と表。
どうして今まで忘れていたんだろう。
私にとっての人生の意味を。
私独自の感性は、小説や絵本を読むことで刺激を受け、インスパイアされるんだ。
今日は、自分にとってあまりにも大きなものを思い出して、ちょっとぽかんとしている私です。
「大人になろう」とするにつれて、私たち、大切なものを置いてきてしまうようになっているのかな。
何かが足りないような感覚だけが、自分の中で警鐘を鳴らして、その何かを一生懸命探して、一体自分が何を探しているのかさえも分からずに。
隣のあのひとも、大好きなあの子も、ちゃんとそれを持っているような気がして、うらやましくなったり。
探し物をしているのは自分だけのように感じて、焦って。
それがないと、いつまでもしあわせにはなれないような気がして。
探しながら、迷って、悩んで、しまいには諦めて。
だけど、それ、きっとあなたのこころのポケットの中に、ちゃんとあるんだよ。
深呼吸して
子どもの頃を思い出して
自分の中にいる純粋な「わたし」と、ちゃんと目を合わせる。
「熱中」は大切なキーワード。
あなたの忘れ物は何ですか?
Love,
Shoko
薪ストーブは自分の物語を語るのに、とても良いツールです。
火にあたりながらおしゃべりをしに、どうぞいらしてくださいね♡
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